ネットバンクなどのデータを自動で取り込むことが出来るクラウド会計ソフト「マネーフォワード」。
ソフトをうまく活用すれば経理事務を効率化できることは間違いありません。
ただ、ちゃんと効率化するためにはソフトを正しく使う必要があります。
マネーフォワードを導入したものの、あまりうまく機能しなかったという実例も多くあります。
マネーフォワードにすれば全部が解決すると思っていたのに・・・
そのなかでも陥りやすい3つの落とし穴をご紹介します!
- マネーフォワードを導入するときに気をつけたいことを知っておきたい人
- マネーフォワードを導入したけどよく使い方が分からない人
- あらかじめミスを防ぐコツを知っておきたい人
ケースその1 日々の処理はできても決算まではムズカシイ?
このような感想をいただいたことがあります。
多少は経理をやったことがあったので、クラウド会計ソフトを導入して会計処理を行い決算書までは作ることが出来ました。
法人税の申告書も自分で作ってみようと思ったけど、余りの書類の多さと言葉の難しさに大きな壁を感じました。
消費税も全くどうしていいか分からないので、さすがに税務申告の部分は税理士にお願いしないと難しいでしょうか?
マネーフォワードのメリットは「自動連携を活用して効率的に会計処理が出来る」というトコロ。
最近の会計ソフトは経理初心者でもカンタンに入力できるような設定にはなっています。
なかには「簿記などの知識が無くてもカンタンに処理していくことが可能!」みたいにCMしているソフトもあります。
マネーフォワードを使えばネットバンクなどの自動取り込みを使えば入力の手間もかかりません。
決算などのちょっと難しい処理でもガイダンス機能がついていますので、ちょっとした飲食店や小売店舗などのスモールビジネスであれば日々の会計処理できるかなと思います。
ただ、やはり問題になるのが「決算」です。
決算をすすめていくにはどうしても簿記の知識が必要になってきます。
- 減価償却はどうするのか?
- 決算の時に未回収になっている売上はどうするのか?
- 仕事とプライベートの両方に使っている支払いはどうするのか?
いろいろと決算で処理しなければならないことは多いです。
そのあたりはソフト頼みではなく自分も勉強して覚えていく必要がありますね!
ケース2 本当に会計処理は効率化できているの?
もともとインストール型の会計ソフトを使っていたけど、クラウド会計の方が便利で効率化できそうなので導入をしてみました。
ただ、クラウド会計は今までの会計ソフトよりPCの反応が遅いので、データ入力時にはすごいストレスを感じます。
確かにネットバンクのなどのデータ取り込みはラクになったけど、本当にこれで効率化できているの?
これも良くある不満の一つです。
マネーフォワードは確かに便利で効率化できるのですが、使い方を間違えると効率が落ちてしまいます。
インストール型の会計ソフトと同じように使おうと思うと、クラウド上にあるデータをインターネット経由で処理しますのでスピードが遅くなります。
知識がある人、入力が早い人ほど、このスピードに対するストレスと言うのは相当なモノです。
とある会計事務所では、システムを従来型のモノからクラウド会計に切り替えたときにスタッフから
「所長、このクラウド会計というモノは遅すぎて使い物になりません!」
と相当なクレームが来たのだとか・・・。
私も会計データを直接ソフトに入力していると「かなり重いなぁ」という印象を受けるときがあります。
そもそもクラウド会計は「直接ソフトに入力してはダメ」ということを認識しておく必要がありますね。
いかにクラウド会計の外でデータを集めて、選択して、取り込んでやるかというのが大きなポイントです。
「直接データ入力しない」というのがマネーフォワードの最大のテーマなので、効率的に作業をするためにはこの過程を同システム化するかがポイントになります。
つまり会計システムを自社の経理システムの流れに合わせるのではなく、どうやって自社の経理システムを会計システムに合わせていくかということがポイントになるのです。
ケース3 税務署への対策ができていないのでは?
ネットバンクやクレジットカード決済などを活用して会計処理はかなり効率化できました。
なんでも全自動で処理できるようになったので、領収書や請求書などの書類は適当に管理しておけばいいものと勘違い。
「請求書や領収書なんかの紙ベース書類はいらないでしょ?」
と思ってポイッと捨てていました。
後日、税務署の調査が入って「領収書はちゃんと整理して取っておかないとダメ」というコトを指摘され怒られてしまいました・・・。
いくら経理が自動化できて効率化できても、効率化・・・というか省略化してはいけない部分もあります。
例えば、領収書や請求書などの保管といった会計資料の管理というところ。
備品を買ってきて処理する場合、昔ながらの方法だと下記のような流れになります。
商品を買って領収書を受けとる → 領収書を見て伝票を書く → 伝票からデータ入力 → 領収書を整理する
このカタチであれば、自然と領収書を社内に持ち帰って処理し、保管をするというのが自然の流れでしょう。
ところが、マネーフォワードの場合にはカードや電子マネーなどで支払えばデータが自動で連動してくれるわけです。
電子マネーで払って領収書を受け取る →(自動で取り込みして連携処理)→ おしまい
という流れになります。
すると「データが自動で処理されるのだから領収書なくても平気でしょ」と思ってしまう人がいるのです。
結論を言いましょう。領収書などの資料を取っておかなければダメです!
いくら経理が全自動になっても、領収書などの資料の保管は法律で義務付けられています。
(例えば個人であれば7年、法人であれば最長で9年間は資料を保管する必要があります)
もし領収書を捨ててしまった場合、その内容を説明することが出来なければ税務署は経費として認めてくれません。
税務署に経費として認めてもらうための最大の証拠は領収書のような証拠資料なのです。
保管しておかなければならない書類は領収書のほかにも請求書や納品書など色々あります。
また総勘定元帳といった「会計データ」も必要なので、パソコンでいつでも出力できる状態にしておく必要があります。
(パソコンのデータだけで保管をする場合には「電子帳簿保存法」に基づいた形式保存が必要です。)
こういった情報を知っておかないと、あとで税務署が来たときに「書類が足りない!」なんてことになりかねません。
注意しておく必要がありますね!
まとめ
「マネーフォワードをいれたから経理処理はバッチリ!」
なかなかそうは簡単にいかないものです。
どんな便利な道具であっても正しく使わなければ意味がありません。
ただ、正しい使い方をすれば仕事を効率化できることは間違いありません。
マネーフォワードをうまく使いこなして業務を効率化していきましょう!