社会保険の算定基礎届をカンタンに解説!【令和6年度版】

会社を経営しているといろいろと手続きが必要になるのが6月。
その手続きの一つに社会保険の「算定基礎届の提出」というものがあります。
マイクロ法人のような役員だけの小さな会社であっても、社会保険に加入している場合にはこの手続きをする必要があります。

「何をすればいいの?」「どこに提出すればいいの?」

ただ、具体的にどういった手続きをすればいいのか疑問点も多いのではないでしょうか?
この算定基礎届について、基本的な部分についてカンタンに説明したいと思います。

目次

算定基礎届とはどういう手続き?

社会保険の「算定基礎届」とは、毎月支払う厚生年金や健康保険といった社会保険料の金額を算出するために行う手続きになります。
加入している人(被保険者)のお給料を基準に社会保険料が計算されます。
この基準となるお給料のことを「標準報酬月額」といいます。

この標準報酬月額を決めるために年金事務所に提出する書類のことを「算定基礎届」というんですね。

理想を言えば、毎月支給されるお給料の金額に基づいて計算をしていけばいいのかもしれませんが、それだと計算処理などが煩雑になってしまいます。
そこで、毎年4月、5月、6月に支給される3か月分のお給料の金額の平均を計算して、その人の標準報酬月額を決めようという形になっています。

この標準報酬月額というのは、非常に重要な金額です。
算定基礎届をもとにして決定された標準報酬月額は、毎月支払う社会保険料の基礎になるだけではなく、その人が将来受け取る年金額にも影響します。
ですので、忘れることなく正確に計算をして書類を提出しなければなりません。

社会保険料の計算はどうなっているの?

毎月支払う社会保険料の算出には、この「標準報酬月額」がポイントになります。
基本的に社会保険料は

「標準報酬月額 × 保険料率」

という計算式で決まるからです。
毎月行う給与計算ごとに社会保険料を計算するのではなく、算定基礎届などで決定した標準報酬月額の基づいて、継続してその保険料を使うことになります。

お給料のうち、社会保険の対象になるものを「報酬月額」といいます。
この報酬月額を社会保険の等級表に当てはめていき、その金額の範囲に該当する金額を「標準報酬月額」と呼びます。
ちなみに健康保険の場合は50等級まで、厚生年金保険の場合は31等級まで区分されており、入社した時やお給料が大きく変動した時にはその都度届け出をして金額を決めます。
それ以外の方については、4~6月の給料に基づいて1年に1回改訂を行います。
それが算定基礎届ということになります。

算定基礎届の4月~6月の3カ月間の平均給与額を基準として標準報酬月額が計算され、原則としてその年の9月から翌年8月までの1年間は基本としてその金額を基に社会保険料が決まります。
ですので算定基礎届の提出は非常に重要なんですよ!

具体的には厚生労働省のホームページで確認されるといいですね!

厚生労働省 令和6年度算定基礎届の手続きについて

算定基礎届の対象となるのはだれ?

では会社の中のだれが対象となるのでしょうか?
基本として算定基礎届の対象となるのは「7月1日時点で会社に在籍している人」になります。
産休などで一時的にお休みをしていても、会社に籍が残っていれば対象となるので注意が必要です。

ただ、6月1日以降に入社した人は対象外です。
その方は6月以降に新しく加入手続き(資格取得届)をしているので、あえてもう一度申請をしなくてもよいわけです。
また6月に大きな昇給があった方は、7月に改定届(月額変更届)を提出しないといけませんので対象外となります。

ただ、基本的には社会保険に加入しているスタッフのほぼ全てが算定基礎届の対象となるとは思います。

社会保険の対象となる給料とは?

算定基礎届の作成には、スタッフの4~6月の給料の資料が必要です。
その給料を基本として社会保険の「報酬月額」を計算するからです。

この時に気をつけなければならないのは、所得税などの税金計算上の給料社会保険計算上の給料には、集計の際に微妙な違いがある点です。

社会保険の報酬月額に含めるものとしては下記のようなものを含めます。

① 基本給や諸手当などの定期的な給料
② 毎月発生する残業手当など
③ 年4回以上支給されるボーナス(これは年間合計額を12で割って加算)
④ 通勤手当などの交通費
⑤ 食事券や社宅費用など

上記のうち、④通勤費⑤社宅費用などについては所得税は非課税の規定がありますが、社会保険は含めなければなりません。
また、残業手当なども含めるため、算定基礎届の対象期間である4月から6月に残業を多くして残業手当が増えると標準報酬月額がアップします。
(4~6月が年間で一番忙しいなど特殊な要件の場合には、残業計算に特例があったりしますので気を付けましょう)

基本的に「4月~6月の給与支給額」が多くなると、社会保険料の負担額も多くなる可能性がでてきますので注意しましょうね。

具体的な算定基礎届の提出の流れは?

① 提出期間は?

算定基礎届の提出期間は毎年7月1日~10日までになります。
だいたい6月前半に事業所あてに算定基礎届の用紙が送付されてきます。
送付された用紙に必要事項を記入して提出いただいてもいいですし、電子申請やウェブで様式をダウンロードして使用してもよいです。
慣れてしまえば電子申請(Gビズ)で簡単に処理できるようになります。

② 提出書類は?

提出する書類は「算定基礎届」だけになります。
令和3年からは書類への押印も不要になったので非常にシンプルになりました。
※ 昨年までは総括表という書類の提出が必要でしたが、令和3年からは不要となりました。

③ 提出方法は?

算定基礎届の提出方法には、紙ベースでの提出(窓口提出や郵送)もしくは電子申請という方法があります。
電子申請はウェブで完結するので便利です。

④ 算定基礎届の流れ

算定基礎届を提出すると、2週間~1カ月くらいしたあとに「標準報酬決定通知書」という書類が届きます。
この書類にスタッフの標準報酬月額が記載されていますので、9月以降の給料計算に反映させるようにしてください。

まとめ

この算定基礎届は毎年行わなければならない手続きです。
ちなみにこの届出を出せば一年ずっと同じ金額というわけでもなく、大きな昇給や減給があった場合には月額変更届などの手続きも必要です。

2~3年に1回くらいの割合で年金事務所の調査もありますので、手続きは正確におこないましょう!

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この記事を書いた人

中小企業や個人事業者の仕事効率化をサポートをすることが大好きな税理士!
「都会ではないけどそこまで田舎でもないよ」という地方都市の中小企業が、都会ビジネスに負けないように知恵を振りしぼっています。
どうやったら分かりやすく会計や税金のことを伝えられるようになるか?
難しいことはカンタンに、固いモノは柔らかく。
自分の知識や経験を活かして多くの方のサポートができるようになれればいいなと思います。

午前3時起きの超・朝型人間。
山や川など自然の中を走り回るトレイルランニングが大好き。
トレイルランで日本百名山を制覇することが目標です!

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